市役所でスピーチの仕方を学んだ

私は通訳案内士という仕事をしています。これは言ってみれば外国人向けに英語でバスガイドをするような仕事です。

なので、バスの中でしゃべりっぱなしという状況がよくあります。大阪から金閣寺に移動する時に1時間以上しゃべってないといけない時とかあって、これはかなりキツイです。こんなに日本語で話すのも大変なのに英語ですからね。

そんな時、市役所の職員だった時に学んだことが役に立ちました。

公務員、特に市役所の職員は形式主義で事なかれ主義で市場経済の仕事がロクにこなせない税金泥棒というイメージで市民の人に見られることが多いので、公務員から民間企業に転職しようとしてもノースキルのオッサンという認定を受けるのですが、本当は公務員の仕事では多くの有意義なことが学べます。

参考記事:公務員と転職

ある日プレゼンテーション研修という研修を受ける機会がありました。そこで講師に言われたのが、

「話す時に、えーとか、あーとか言うのを完全に止めなさい」

ということ。

子供の頃、校長先生の退屈な話を聞いている時に、校長先生が「えー」って言う数を数えたという同級生が居ませんでしたか?私は同級生から、60回言っていたと聞いて、マジかよ校長先生そんなにたくさん「えー」って言ってるのか、と衝撃を受けました。

その研修のワークで人前でしゃべらされて、我々は凄い数の「えー」「あー」を言っていることに気づき、愕然としました。

その講師は、言いっぱなしではなく、具体的な方法を教えてくれました。

「えー、って言いそうになったら、黙ってください。それが間になります。隙間だらけで話すことになりますが、それで良いんです。」

それからというもの、私は市民と電話で話す時に、「えー」を言わないように特訓しました。当時、通訳案内士の資格の勉強をしていたので、通訳案内士として人前で話す時に上手く話せるようにとイメージして、話しました。

これを聞いてから、他の人が話す時も、注意深く聞くようになりました。すると、話すのが上手い人というのは「えー」とか「あー」を言わない人なんですね。「えー」「あー」は本当に話を聞き苦しくします。これを言わなければ、どんなくだらないこともTEDのスピーチのように意識高く聞こえるでしょう。

政治家は演説が仕事ですから、流石に話すのが上手い人が多いです。特に、小泉進次郎の演説は最高ですね。

進次郎の演説はめちゃくちゃ上手いし面白いんですが、その要素の一つに「えー」を全く言わないということがあります。内容はともかく、進次郎のように「えー」を言わず、間を取りながら話せばそれだけでスピーチのレベルが段違いに良くなるでしょう。参考に進次郎のスピーチを貼っておきます。

もう一人、良い例を紹介します。トランプ大統領です。こちらは英語なので、英語でスピーチをする私には、より参考になります。

トランプの英語は、一単語ずつ区切っていて、聞き取りやすいですね。また、大統領としての風格を感じさせます。

さて、二人の偉大な政治家の話し方ですが、「えー」や「あー」を言わず、間を取っていますね。タメが効いていて、言葉のパワーが増しています。

「えー」や「あー」を言わずに話そうとしてみると、そんなにスラスラと言葉が出てこないので、話が隙間だらけになります。沈黙が生まれるわけです。この沈黙が怖くて、普通の人は「えー」や「あー」を無意識に言ってしまうのです。

しかし思い切ってそれを言うのを我慢すると、それだけで、タメが効いた話し方になり、スピーチがグッと良くなります。まず大事なことは、勇気を持って、自分が話している時の沈黙を受け入れることです。

市役所での市民との電話応対の仕事でも、真剣にやれば市民にとっても、自分にとっても良いことがあります。チャイムが鳴ったら即帰るべきですが、チャイムが鳴るまでは真剣に仕事をするのが良いですね。

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