市役所の仕事は定型の単純作業なのか

市役所に関するよくある誤解に

「市役所の仕事は提携業務ばかりで単純作業。ハンコを押したり数字をチェックするだけ。毎日変わらない日々がある。」

というものがあります。これは誤解で、ほぼ間違いなのですが、市役所の中に居る人に問題があるので、そう思われても仕方がないかなと思います。

私は市役所を辞めてからフリーランスの通訳案内士という仕事をしていますが、通訳案内士という仕事は最初こそかなり難しいものの、ほぼ同じ作業の繰り返しで、クリエイティブな思考は必要ありません。

対して公務員の時は、色々と企画したり交渉したりしてクリエイティブな仕事ばかりしていたなぁと思います。税金の取り立てをしていた時は、相手に払わせる話術も大事だったし、財産調査や差し押さえという伝家の宝刀も、いつどこで誰にどうやって発動するかということが難しいので、クリエイティブな企画力が必要でした。

その後に環境関係の仕事をしていた時は啓発イベントを企画する機会がかなりたくさんあり、メディアを使った広報やイベント現場での運営など、まさにクリエイティブな仕事がたくさんありました。また、環境関係の仕事は市ごとの条例でかなり大事なことまで決めることができるので、市民生活に関わる重要なルールを作るのが、市役所職員の仕事でした。

冒頭にある、市役所の職員は単純作業ばかりしているという誤解の原因は、市民課と言って住民票を発行している窓口の人が単純作業をしているからだと思います。あれは確かに単純作業ですが、主に嘱託職員がやっていました。正規職員もやることはありますが、それをしているのは、たくさん居る正規職員のうちの僅かな割合です。あと、会計課と言って、数字をチェックする仕事が多い部署も単純作業ですね。年収700万ぐらいの人が数字のチェックだけしていたりします。

なぜ市役所の仕事がクリエイティブでない単純作業だと誤解されてしまうかと言うと、職員の中にクリエイティブだと思って仕事をしていない人が多いからです。

例えば先述の環境の仕事ならば、本当に市民にとって便利なルールを作ったり、意味のあるイベントを企画することは、非常に裁量も大きくクリエイティブな仕事なのですが、まるでクリエイティブでないかのようにそれをやることもできるのです。良い例が、前例踏襲です。前例踏襲しておけば、何も考えずに仕事することができます。

別に前例踏襲をしなければならない決まりなど当然なく、市役所の職員はどんどん改善していく立場の人間です。でも、まるでそれに気づかないフリをして前例踏襲を続けることもできます。上司も前例踏襲が好きな人が多いですからね。

前例踏襲しておけば、失敗した時に取り敢えず自分が責められないというのも大きな要素です。前例踏襲せずに失敗すると、それを企画した人間のせいにされるので、リスクが大きいです。

これはシステムの欠陥なので、現在公務員をしている人は悪くないと思います。別に前例踏襲でも給料は毎年上がっていくので、チャレンジをすることによって得られる物の期待値が低すぎるのです。計算高い人が多いので、みんな、市を良くする余地があるのに挑戦しないことに対して、無意識に気づかないフリをして日々仕事をしています。

こうして、公務員は前例踏襲ばかりするようになり、単純作業と前例踏襲ばかりのクリエイティブさの欠片も無い公務員像ができあがったのでした。

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